謙虚な天狗が送る毎日

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夏の終わりに聴きたい曲 3選


こんにちは、謙虚な天狗の皐月です。東京の夜はここ数日で急に涼しくなってきました。なんだか例年はもうちょっと暑さが続いていたような気がしたのであっけない感じです。

 

私が一番好きな季節は秋です。晩夏の風情をせっかくみんなで楽しんでいるときにそんなこと言うなよって感じですけど(笑)

もちろん夏の終わりも好きなんですが、10月の終わりぐらいになって木々は葉っぱを落としたりなんかしちゃって、日本中が少しずつ冬の寂しさに包まれていくあの雰囲気が好きなんですよね。私はつまりSかMかで言えばMです。

 

 

HIGH WAY BEACH / Age Factory


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切なくも重厚なサウンドに、清水エイスケさんの泥くさいハスキーボイスが染み込んで、ここに本当のエモーショナルロックが出来上がりました。

二度と戻れないあの頃に思いを馳せたくなる今の季節に沁みます。

 

HIGH WAY BEACH 幻の海

いつか君の思い通り

HIGH WAY BEACH あと少し

短い夢のようで夢じゃない

作詞:清水エイスケ

 

ちなみに曲名の”HIGH WAY BEACH”がどういう意味なのか曲を聴いてもイマイチはっきりと分からず、なんとなくで情景を思い浮かべていたのですが、昨日とある記事に由来が書かれているのを発見しました。

 

この楽曲は、Age Factory清水エイスケがARSKNのRY0N4の家で作業をしていた時に、外から聞こえてくる高速道路の音が波の音に聞こえたことから歌詞が書かれた。

引用:Age Factory若者にしか見えない幻の海を歌う「HIGH WAY BEACH」本日配信スタートMUSIC VIDEOを公開! | UK.PROJECT

 

なるほどそのような経緯からだったのか。インスピレーションの種というのは本当にそこら中にあって、それをいかにして見つけられるかなんだなぁというのを痛感します。

 

大麻とかドラッグで世界のすばらしさとかに気づくのは、何も新しいことを発見したわけではなくて、シラフでもアンテナを張ってさえいれば簡単に見つけられることなんだ、という話を聞いたことがあります。ドラッグ経験者が言ってました。

 

もちろん幻覚とかはまた別の話だし、薬の力を借りてでも想像力の限界を追い求める芸術至上主義者のアーティストとかが使用するのには意味があると思います。ロックの歴史を築き上げてきた偉大な先駆者も大半が試していたと思うし。

 

ただ、幸せになりたいだけの私みたいな一般人には要らない。音楽があればいいと思う。

 

Summer Soul / cero


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降り出したのは天気雨

傘を差さずに

濡れたまま歩く人たち

やがてすぐ 雨はどこかへ消えて

見たことない夕暮れに

作詞:荒内佑

 

HIGH WAY BEACH が高速道路ならこっちは確実に一般。そして舞台は東京でしょう。

歌詞にもMVにも出てくる「大学通り」は国立駅前から伸びている道ですね。

 

私は地元が国立と近いんですけど、国立駅前って意外と穏やかで心地良いんですよ。イントロで流れるフルートみたいにね。

駅前もそんなに高層ビルどーんどーんって感じじゃなくてですね。まさにこの曲のような余裕ある大人な雰囲気が漂っているのです。

大学通りという名前の由来となったのは、天下の一橋大学。そして近くに都立なら3本の指に入る国立高校もあります。要するに学園都市なんです。

 

力んでなくて、飄々としていて、それでいてお洒落な出で立ちが好きです。

この曲も、一橋大の学生もまさにその雰囲気。後者に関しては偏見かもしれません。というか一橋大に通ってる友達がそういう雰囲気の人だからそのイメージ付いちゃったのか。いずれにせよ一橋生には憧れちゃうなぁ。

全国のちびっ子たち、大学行きたいなら迷わず一橋大学に行こうね!

 

すごい速さ / andymori


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きっと世界の終わりも

こんな風に味気ない感じなんだろうな

作詞:小山田壮平

 

ベタな選曲をしてしまいました。多分ベタです。この曲はやっぱり夏の終わりに聴きたいんですよ。

逆に、この時期以外に聴くのは少し引け目を感じてしまうので個人的にはあんまり聴きません。その分いま聴きます。

 

アンディモリというバンドがもつ焦燥感みたいなものを文章で書き表そうとすると列挙しなければならない要素が多すぎるのでやめます。(ブロガーとは如何に)

まぁ音楽を聴けば一発で感じられると思うし。アンディモリでしか摂取できないロックのことです。

 

アンディモリが活躍していた2010年前後ってもう今から10年以上も前になるんですね。この頃の日本ってやっぱり今と比べるとまだ”平成感”あったように思います。

 

無印良品が令和だとしたら平成はニトリですね。

どうもこんにちは、分かりにくい例えです。

無印ほど無機質なスタイリッシュになり切れていない、やや配色に遊びを残している感じ。私は好きです。

そして経済とか日本社会への漠然とした不安みたいなものが現実味を帯びてきたのもこの頃な気もしなくもない。さとり世代的な価値観が広がったり。

 

そんなとき、音楽業界にすごい速さで現れたのがアンディモリ、そのように伺っております。

若者はみんなこぞってアンディモリを聴いていたとは聞いていたけれど、2010年に書かれた下の記事を見て改めて当時の人気ぶりを実感できた。

 

rockinon.com

「破竹の勢い」「現在若手でもっとも勢いのあるバンド」と綴られている。

やっぱりすごかったんだ。筆者の方のリアルな虚無感から当時のアンディモリの輝きが伝わってきました。

もしも当時わたしもアンディモリを愛するティーンの一人だったら後藤大樹の脱退を日比谷野音で耳にして空っぽになっていたかもしれない。そんな気がする。

 

 

 

今更ながら斎藤幸平 著『人新世の「資本論」』を読んだ

資本主義が抱える矛盾とは……

 

2020年9月に発売されてからコロナ禍のなかで爆発的な人気を博し、約45万部の売上を達成、2021年の新書大賞も受賞したのが、斎藤幸平氏による『人新世の「資本論」』である。

 

人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」において、このまま気候変動を放置すれば人類の歴史が終わってしまう。それを阻止するには際限なき利潤追求をやめ、資本主義と決別する必要がある。しかし、資本主義を捨てた社会に豊かな暮らしは実現できるのだろうか……?

 

と、簡単に解説はしてみたものの、この記事を読んでくれている方で既に読んだことのある人も多いかもしれない。

 

若干の今更感はありつつも大学の図書館で借り、通学時に電車の中などで少しずつ読み進めた。

かなり人気の書籍ということもあり、興味本位で調べてみると市内の図書館ではなんと予約が10か月待ちになっていた。

 

10か月待ちは買え! もう買え!

どうしてもお金使いたくないなら一日だけ断食して浮いたお金で買うんだ!

 

ちなみに大学の図書館では、借りようと思ったタイミングでは貸出中だったのだが、予約しているのが私だけだったので3日くらい待って借りることができた。逆にもう少し人気があってもいいかなと思ったけどそれはそれ。

 

 

そんなこんなでゲットしたこの本。

ものすごく大雑把に著者の主張を要約すると、(微ネタバレ注意)

「いまの資本主義をこのまま続けていくと経済格差はさらに拡大するうえ、地球に不可逆的な気候変動が生じる。その結果、人類は豊かな暮らしを維持することは困難だ。その問題を解決するためには、晩期マルクスの思想である『脱成長コミュニズム』を基に経済システムを根本から作り替え、エネルギーなどの資源や生産管理そのものを共有化する世界を実現する必要がある。」

といったことになる思う。

 

この本を読んで、何よりも先に思ったこと。それは、

「作者の”斎藤幸平”という名前、彼のもつ思想にぴったりじゃん」

ということ。

え?そこ? 

そこ。

 

”幸”を”平らに”。まさに、といった名前だ。

 

多分ただの偶然だと思うが、名前というのは一種の呪いとも言えるし、もしかしたら無意識のうちにそのような思想をもつ方向に導かれてきたのかもしれない。はたまた使命を感じてガチガチに意識してたのか。

名前というものを見くびってはいけない。みなさんも自分や友人の名前と信条を照らし合わせみたらおもしろいかもしれません。

 

著者は、本書の中で資本主義の決定的な矛盾点についていくつか整理している。これらは本題に入る前の導入部分に書かれていたことで、特に目新しい観点というわけでもないようだが、非常にわかりやすい解説だったのでそのなかで一つだけ紹介したい。

その矛盾点というのが、

 

「価値」と「使用価値」の著しい乖離

 

である。

 

「価値」とは、簡単に言えば商品に実際につけられる金額のことで、「使用価値」とは空気や水などがもつ、人々の本質的な欲求を満たす性質のことだ。

 

「価値」と「市場価値」が乖離している顕著な例としては、高価なブランド品をイメージするとわかりやすい。

ロレックスの何百万もする時計と、数万円で買えるカシオの時計。

「時刻を知りたい」という”使用価値”の観点でみれば両者に違いはない。

ではなぜここまで価格が違うのかと言えば、それはロレックスがブランド化という手法を用いることで相対的な希少価値を高めているからである。さらに緻密なマーケティング戦略によって人々の更なる欲求を加速させる。

 

もし、みんながみんながロレックスを持っていたら特別ロレックスをつけようと思わないだろうし、こんな目ん玉飛び出るような金額にはならないだろう。

いやでも俺はロレックス好きだから買いたいんだよ、買うのは自由だろ、と思われるかもしれない。

 

ただし、このテーマが抱える本質的な問題は、世界が「市場価値」ばかりを過剰に追い求めることで本来重要視されるべき「使用価値」が蔑ろにされてしまう点にこそある。

 

例えば薬品会社でいえば、命を救えるが価格の安い薬よりも、そこまで緊急性はないが儲かる薬を生産するかもしれない。

 

労働の観点でも同じような現象は深刻化している。

コンサルティングマーケティング保険業や金融業などは現在高給をとっている職業として挙げられるが、このような仕事が実生活における「使用価値」を生み出しているかと言われると疑問が残る。実際、ふとした瞬間にいま自分のやっている仕事が誰の役にも立っていないのではないかと感じて転職に至った、というような話は私も何度か聞いたことがある。

 

それに対し、社会にとって「使用価値」の非常に高いエッセンシャルワーカーと呼ばれる職種では、恒常的な人手不足に陥っているのが現状と言わざるを得ない。

 

第一次産業やエッセンシャルワークのような土台が崩壊したら、そのうえに成り立っているものも崩れてしまう。しかしいま現状もてはやされるのは、より効率的で儲かる仕事である。華やかで目立つものに目がいってしまうのは人間の性というのもわかるけど、何よりも先に目を向けるべきは縁の下の力持ちではないのだろうか。

 

 

今回紹介したものは、資本主義社会という経済システムにおいて豊かな暮らしを求めるうえで避けては通れない矛盾点のほんの一部に過ぎない。

 

このような資本主義の抱える問題点を一つひとつ深掘りして解決策を提示することで、新しい社会構造「脱成長コミュニズムの輪郭を描き出していくのが本書『人新世の「資本論」』であった。

 

読者のみなさんの中でも読んだことある方いらっしゃったら、ぜひ本書の感想や意見をコメントでおしえてください!

まだ読んだことがない方は、ぜひ一日断食して買ってみてくださいっ。

 

 

 

 

崎山蒼志、No Buses フジロック2022 



こんにちは、謙虚な天狗の皐月です。

藤六さんがYouTubeで配信してくださったので、無料で観れてしまうことに申し訳なさを感じつつ、まぁやってくれたら観ないわけにはいきません。ありがとうございます、藤六さん。

私は音楽は確かに好きなんですが、知識量は本当に乏しく、洋楽ともなると未だに超有名どころくらいしか知りません。この、”超有名どころ”という表現も突かれそうでちょっと怖いんですけどね。

 

そんなわけでぶっちゃけてしまうと今回のフジロック2022に出演していたアーティストもほとんど知りませんでした。

 

いや、フジロック出てる人たちなんて”超有名どころ”でしょ!?

 

ほらそういうこと言うから~。

 

海外のアーティストでかろうじて聴いたことあったのはさっきも話にでたSuperorganism、あとはトムミッシュくらい。さすがにもう少し知っておく必要があると自分でも思うし、もっと知りたい。実は、今回の配信でも1日目のラストに出ていたVampire Weekendと出会えたのでよしとするか。

 

すべてのアーティストの演奏を観たわけではないですが(物理的にも無理)、今回のフジロックで特に惹きつけられた2組について軽めに書こうと思います。

 

 

 

No Buses

『Pretty Old Man』


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No Buses(ノーバシーズ)は、近藤大彗(Vo/Gt)、有本晋也(Gt)、杉山沙織(Cho/Ba)、市川壱盛(Dr)、和田晴貴(Cho/Gt)の5人組ロックバンド。

 

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Arctic Monkeysの曲名をバンド名に拝借し、The StrokesThe Cribsら2000年前後にシーンを賑わせたバンドのエッセンスを散りばめながら、日本人の琴線にも触れるメロディを英語詞で歌うというユニークなスタイルで活動するNo Buses。ガレージロックをひとつのルーツに持ち、初シングル『Tic』(2018年)でいきなり国境を超えてリスナーを獲得し、現在、国内外で注目を集めている。

引用:『No Busesの「未完成」を楽しむバンド美学 作る喜びが救いだった』

https://www.cinra.net/article/interview-202103-aviotnobuses_ymmts

 

No Busesのことは実は一年前くらいから知っていまして、渋くて内向的だけどノリが良いというような感覚を初めて聞いたときに受けました。そして、上の記事の紹介文にもある通り、歌詞はすべて英語でありながら日本人にも響きそうなメロディー。

フロントマンの近藤大彗さんも、ポップになりすぎないような絶妙なラインを攻めることにこだわりを持っているそうです。

 

『Tic』


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YouTubeのコメント欄を見てもわかるのですが、海外でもその心地良いギターサウンドが高い評価を受けており、国内外問わず人気を博しているバンドです。勢いがありながら、確実に勢いだけじゃないアーティストだと思います。

 

 

 

『Rubbish:)』


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SWEET LOVE SHOWER SPRING 2022 でのライブ映像

 

フジロックのライブ中、MCが淡泊であることも少し話題に上がっていましたが、それがあまりネガティブに作用しないような、むしろ演奏前のフリのような感じにさえ思えるほどパフォーマンスが最高なバンドです。

 

『I'm With You』


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完全に個人的な問題なんですが、オルタナティブというんですかね、気だるげな雰囲気と派手過ぎないサウンドのバンドが私は好きなんですけど、たまに全部似たような曲に聞こえてきてしまうことがあって飽きてしまったりすることがあります。

ただ、No Busesのトリプルギター編成は奥が深くていろんな顔を見せてくれているような気がします。これからも注目したい。

 

 

 

崎山蒼志

 

 

私には、自慢したいことがあります。何を隠そう、私は崎山蒼志とタメなんです。

以前、興味本位で自分と同い年の有名人を調べてみたことがありました。一度は気になりますよね。

 

調べた結果、天才しかいませんでした。

 

崎山蒼志、Ado(うっせぇわ)、藤井聡太

 

というか逆に考えればこの歳で名が売れている時点で特筆した才能があるのに間違いはないってことですね。

 

ちなみに一つ上は、久保建英、加藤清史郎(子ども店長)、平手友梨奈(元欅坂)、ビリーアイリッシュなど。

一つ下は、張本智和(卓球)、グレタ・トゥーンベリ(環境活動家)、そして鉄腕アトムでした。

 

・・・鉄腕アトム!?

ちなみにアトムくんは2003年4月7日生まれだそうです。

 

話が逸れました。崎山蒼志といえばやはり五月雨を最初に聴いたときのインパクトがどうしても強いです。一見するとどこにでもいそうな平凡な男子中学生、ただ明らかに「エモい歌うま系弾き語り少年」ではない強烈な個性が感じられました。素人目から見てもギターの弦捌きは異常でしたし。まさにダイヤモンドの原石。というか当時からギラギラに光ってましたけどね。

 


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なんとこの動画が公開されてからもう4年も経っていました。この間、私もちょくちょく彼の活動をチェックしていたのですが、今回のフジロックでのパフォーマンスを観て、改めて凄みを感じました。

鋭かった切れ味はより増して、良い意味で安定感が増したというか。あとギターの表現だけでなく、歌声での表現にも深みが増したような気がします。

おそらくいま一番かっこいい若者は崎山蒼志だと確信しました。同い年として自分も頑張らなきゃな、と思いました。そしてライブ映像で彼の顔のアップが流れるたび、ジョン・レノンに似てるなと思いました。

 

『国』


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『嘘じゃない』


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最近はエレクトロニックな方面の楽曲もいくつか発表されており、私に好評です。

(もちろん多くの方にも好評)

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2022年リリースの最新アルバム『Face To Time Case』に収録されている『水栓』です。

 

 

 

彼がどんどんメジャーになり、たくさんの大人に囲まれるにつれて、あの頃の初期衝動や美しい脆さみたいなものが失われていってしまうのではないかという声もたまに聞くことがあり、自分もその気持ちがわからないわけではないです。

しかし、それは杞憂だと思います。楽曲や言動の節々に、彼の「誰にも掴めない哲学の場所」を感じるからです。幼いころから作曲という創作活動と共に途方もない時間を過ごしてきた彼なら、どれほど形態が大々的になろうと、今後も更に彼の心の中にある世界をより高い解像度で僕たちに伝達してくれると思います。

 

 

 

おわり

 

 

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授業中に「下敷き」でパタパタ扇ぐのは犯罪か。

授業中に「下敷き」でパタパタ扇ぐのは犯罪か。

今日は一限から大教室で授業があった。駅から大学までは近いのに門に入ってからが長い。汗がじんわりと滲み出てくる。

教室にたどり着いたら冷房がガンガン効いててオアシスだ!と思いきやそうでもない。効いてはいるが期待していたほどではない。

黒板の前では教授が教壇にへたり込みながら団扇を半分無意識かのような顔でパタパタしている。

 

講義はいつも通り時間ぴったりに始まったが、ここで私は少し違和感を覚えた。あたりを見渡すと、3人に1人くらいの割合で学生たちがパタパタしているのだ。

私の脳内では、授業中などに下敷きとかクリアファイルで扇ぐのは失礼な行為だということに一応はなっていた。小中学生の頃にそれで注意されていた友達を何人も見ていたからだ。

といっても本気でそれが無礼な行為だと思ったことは別にない。なんなら授業に最大限集中するための環境づくりに勤しんでいるという、もはや称賛に値する行為なのではないかとさえ思う。

思えば「あくび」も似たような立ち位置にいる。授業中にあくびをするのは確かに「眠い」「やる気がない」という意思表示ともとれるが、過去に出会ったある先生のケースでは、「あくびは空気を身体にたくさん取り込んで頑張って眠らないようにする生理現象であるため、別に咎めたりなんかしないぜっ!」というのもあった。

 

結局どうすればいいのか。こんな時に便利なのが、「自分がやられる側だったとしたらどう思うか」というのを考える方法。

私は、自分が一生懸命に作ったレジュメを使って生徒一人ひとりを見ながら熱い講義をしている最中に下敷きで扇いでるやつ、あくびをしているやつがいたら、、、

別に良いと思う。突き放すようなニュアンスじゃなくて率直に。そこまで他人に迷惑をかけているわけでもないし。

 

私は常々思っていたことがある。この「自分がやられる側だったとしたらどう思うか」を考えるという ”自分がされて嫌なことはしない理論” は普通に考えて破綻していると思うのであまり乱用すべきではないのかもしれない。

 

ところで、前の席の人が扇いでいると、たまにそのおこぼれ風を享受できることがある。自分は何もしなくてもいいので実質扇風機と一緒だ。ありがたい。 ただ、これもひとつ問題がある。

前に座ってるのが浜辺美波だったら大歓迎どころか一種のお祭りになり得るのだけど、汗だくの柔道部だったら嫌だ。本人に悟られないようにすーっと席を移動するくらいには耐えられないかもしれない。

 

結局授業中にパタパタ扇ぐのは罪なのか。

そのときの教授は普段から帽子、ガムを嚙む、私語などを見つけるや否や即座に注意するタイプなので、実のところ私はうちわについてもすぐに注意されるだろうと思っていた。

が、結局気にする素振りさえなかった。授業前に教授自身も団扇を使っていたから、肯定派なのか。

 

ここまで下敷きとかクリアファイルで扇ぐ例について取り上げてきた。(大学で下敷きを使ってる人はいないけれど、比喩的に)

 

しかし、実は学生の中には「扇子」を使っている者も一定数いた。

 

そうだ。

下敷きとかクリアファイルで扇ぐから少し引っかかるんだ。優雅じゃないんだ。

扇子なら何も問題はない。和の心。夏の風物詩。風流。たしかに扇子を片手に学ぶ日本人ってはたから見れば結構イケてるかもしれない。しかもいま流行りのSDGsにも対応しているし。

一応調べたけど扇子やうちわで暑さをしのぐ文化が根付いているのは日本くらいっぽい。

 

 

ということで、授業中に「下敷き」でパタパタ扇ぐのは犯罪。

扇子やうちわなら無罪、どころか奨励すべし。

 

私が人生で一番聴いた曲「水星」MV公開から10年が経った

MVのロケ地となったtofubeats氏の地元である神戸



こんにちは、謙虚な天狗の皐月です。

 

みなさんは、自分が人生で一番聴いたであろう楽曲がなにか、パッと思い浮かびますか?

サブスクなんかだと聴いた回数を勝手に記録してくれて、年末に集計して教えてくれたりしますけど、自分ではなかなか数えることはないので「確実にこの曲!」というのが分かる人はきっと少数派かなぁと思います。

 

でも、私にはおそらくこれだというのがありまして。

 

それが、tofubeatsの「水星」という楽曲です。

「水星」ーtofubeats feat. オノマトペ大臣


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シンプルだけど印象に残るMVで、モデルの女性の可愛らしい雰囲気と楽曲の無機質でおしゃれなサウンドが妙にマッチしている不思議な作品だと思います。

あと、最後にtofubeats氏とオノマトペ大臣が出てくるシーンの”隣人の優しいお兄さん感”にいつもニヤッとしてしまいます(笑)

初めて聴いたのはおそらく中学2年くらいのときで、それ以来ずっと聴いてます。私が初めて聴いたときにはもうリリースから数年経っており、その当時から既に頭一つ抜けた存在だったようです。

 

一見すると淡泊なオートチューンにも趣があるということを教えてくれたのもこの曲でした。

初めて聴いた時に強い衝撃を受けたのはもちろんですが、衝撃を受けた曲というのはべつに水星以外にもたくさんあります。

しかし、衝撃を与えるエネルギーをもつ楽曲が必ずしも何年、何十年と聴き続けたくなる魅力をもっているとは限らないと思います。

水星は自分にとって未だに色褪せないし、飽きないし、きっとこれからも聴くだろうというのが何となくわかるくらい好きな曲です。

 

何年たっても色褪せない音楽を作るというのはプロのアーティストであっても至難の業。

実際、tofubeats氏も去年ラッパーのdodoと共に発表した楽曲『nirvana』の歌詞の中で「10年前に作ったものもいまだに越えられてもないし とは言いつつ前進」と『水星』という自分の残した偉大過ぎる作品との葛藤を吐露しています。

 

原曲はオノマトペ大臣を客演に迎えたこのMVのものなんですが、DAOKOやラブリーサマーちゃんをはじめとして多くのアーティストにカバーされてきました。

つい最近もサントリーのほろ酔いのCMのタイアップでTENDREなどがカバーしてましたね。どれもアーティストの色が適度に染み込んでて好きです。

 

しかし、そんな数多のカバーのなかでも絶対はずせないのが、シンガーソングライターの仮谷せいら氏による水星です。

「水星」feat. 仮谷せいら


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耳に残る印象的な歌声の彼女は、なんと水星のMVに出演していた、”あの女の子” なんです。

何を隠そう、仮谷せいら氏はただのモデルではなく小学生の頃から作詞作曲をしたりするほどの生粋の音楽家で、なんと若手アーティストの登竜門的イベント 閃光ライオットにも2010年に出場しています。

「Colorful World」ー仮谷せいら


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10年前、ソロでシンガーソングライターとして活動していたさなかに水星のMVに出演したことや、カバー曲をリリースしたことでも脚光を浴びました。

 

それから現在に至るまでも1歩ずつ着実に進化を続けながら精力的に活動されており、先日6月15日に待望の1stアルバムをリリース。

彼女自身が過去に発表したシングルを再レコーディング、アレンジしたものも多数入っており、進化した仮谷せいらワールドを存分に堪能することができます。

 

そして、もちろん「水星」もアレンジを加えられてアルバムに入ってます。

以前のMVでは、まだあどけなさの残る”cutie zipper girl” だった彼女が、

10年後にもう一度楽曲とMVを撮り直し、一味違った雰囲気の水星を見せてくれたことに感謝です。

 

「水星」ー仮谷せいら


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この歌詞に強く胸を打たれた!とか、どん底にいたときに救ってくれた曲、とかでもありません。 好きだったあの子が聴いていた、というわけでもないし。 そもそも、少なくとも今までの人生だけでいえば日常はもっと平坦なものでした。

でも、なぜかいつも水星を聴きたくなってしまいます。

 

水星をジャンル分けするならばおそらくHIP HOPなんだろう、と認識したのは私がHIP HOPを聴き始めてから2年くらい経過したときのことでした。

 

突発的にKing Gnu や 米津玄師 のような尖った音楽性のアーティストが日本中を席巻することはあれど、基本的には日本のチャート上位を占める曲はバラードやラブソングが多い傾向にあると思います。

それ自体はとても自然というか、いたって健全なことだとは思うのですが、自分の日常とは縁がなさすぎて困ってました。歌詞自体には共感するし、感動もするんですけどそれが全く自分に何も影響を与えてないような気分になることが多くて。

成長するにつれてもっと新しくて刺激的な音楽やリリックを求めるようになったという面もあったと思います。あとは単純に、みんなが聴いてるものを聴きたくないという少年特有の天邪鬼メンタル。

 

そんなときにHIP HOP を知り、ラッパーというのは金のネックレスをじゃらじゃらとつけてチェケラッチョ!!と言ってる人たちだけじゃないんだ、ということを知り。

 

等身大で刺激的な音楽を求めていた私はあっという間にHIP HOP にハマりました。

あとから客観的に見ればとても純粋でテンプレな流れですね。

 

ヒップホップが不良にしか聴けない音楽じゃなくてよかったとつくづく思います。

ありがたやありがたや。

 

水星10周年おめでとうございます!!

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