謙虚な天狗が送る毎日

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今更ながら斎藤幸平 著『人新世の「資本論」』を読んだ

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資本主義が抱える矛盾とは……

 

2020年9月に発売されてからコロナ禍のなかで爆発的な人気を博し、約45万部の売上を達成、2021年の新書大賞も受賞したのが、斎藤幸平氏による『人新世の「資本論」』である。

 

人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」において、このまま気候変動を放置すれば人類の歴史が終わってしまう。それを阻止するには際限なき利潤追求をやめ、資本主義と決別する必要がある。しかし、資本主義を捨てた社会に豊かな暮らしは実現できるのだろうか……?

 

と、簡単に解説はしてみたものの、この記事を読んでくれている方で既に読んだことのある人も多いかもしれない。

 

若干の今更感はありつつも大学の図書館で借り、通学時に電車の中などで少しずつ読み進めた。

かなり人気の書籍ということもあり、興味本位で調べてみると市内の図書館ではなんと予約が10か月待ちになっていた。

 

10か月待ちは買え! もう買え!

どうしてもお金使いたくないなら一日だけ断食して浮いたお金で買うんだ!

 

ちなみに大学の図書館では、借りようと思ったタイミングでは貸出中だったのだが、予約しているのが私だけだったので3日くらい待って借りることができた。逆にもう少し人気があってもいいかなと思ったけどそれはそれ。

 

 

そんなこんなでゲットしたこの本。

ものすごく大雑把に著者の主張を要約すると、(微ネタバレ注意)

「いまの資本主義をこのまま続けていくと経済格差はさらに拡大するうえ、地球に不可逆的な気候変動が生じる。その結果、人類は豊かな暮らしを維持することは困難だ。その問題を解決するためには、晩期マルクスの思想である『脱成長コミュニズム』を基に経済システムを根本から作り替え、エネルギーなどの資源や生産管理そのものを共有化する世界を実現する必要がある。」

といったことになる思う。

 

この本を読んで、何よりも先に思ったこと。それは、

「作者の”斎藤幸平”という名前、彼のもつ思想にぴったりじゃん」

ということ。

え?そこ? 

そこ。

 

”幸”を”平らに”。まさに、といった名前だ。

 

多分ただの偶然だと思うが、名前というのは一種の呪いとも言えるし、もしかしたら無意識のうちにそのような思想をもつ方向に導かれてきたのかもしれない。はたまた使命を感じてガチガチに意識してたのか。

名前というものを見くびってはいけない。みなさんも自分や友人の名前と信条を照らし合わせみたらおもしろいかもしれません。ちなみに私の「皐月」という名前は、5月という意味なのでそれ以上でも以下でもない。

 

著者は、本書の中で資本主義の決定的な矛盾点についていくつか整理している。これらは本題に入る前の導入部分に書かれていたことで、特に目新しい観点というわけでもないようだが、非常にわかりやすい解説だったのでそのなかで一つだけ紹介したい。

その矛盾点というのが、

 

「価値」と「使用価値」の著しい乖離

 

である。

 

「価値」とは、簡単に言えば商品に実際につけられる金額のことで、「使用価値」とは空気や水などがもつ、人々の本質的な欲求を満たす性質のことだ。

 

「価値」と「市場価値」が乖離している顕著な例としては、高価なブランド品をイメージするとわかりやすい。

ロレックスの何百万もする時計と、数万円で買えるカシオの時計。

「時刻を知りたい」という”使用価値”の観点でみれば両者に違いはない。

ではなぜここまで価格が違うのかと言えば、それはロレックスがブランド化という手法を用いることで相対的な希少価値を高めているからである。さらに緻密なマーケティング戦略によって人々の更なる欲求を加速させる。

 

もし、みんながみんながロレックスを持っていたら特別ロレックスをつけようと思わないだろうし、こんな目ん玉飛び出るような金額にはならないだろう。

いやでも俺はロレックス好きだから買いたいんだよ、買うのは自由だろ、と思われるかもしれない。

 

ただし、このテーマが抱える本質的な問題は、世界が「市場価値」ばかりを過剰に追い求めることで本来重要視されるべき「使用価値」が蔑ろにされてしまう点にこそある。

 

例えば薬品会社でいえば、命を救えるが価格の安い薬よりも、そこまで緊急性はないが儲かる薬を生産するかもしれない。

 

労働の観点でも同じような現象は深刻化している。

コンサルティングマーケティング保険業や金融業などは現在高給をとっている職業として挙げられるが、このような仕事が実生活における「使用価値」を生み出しているかと言われると疑問が残る。実際、ふとした瞬間にいま自分のやっている仕事が誰の役にも立っていないのではないかと感じて転職に至った、というような話は私も何度か聞いたことがある。

 

それに対し、社会にとって「使用価値」の非常に高いエッセンシャルワーカーと呼ばれる職種では、恒常的な人手不足に陥っているのが現状と言わざるを得ない。

 

第一次産業やエッセンシャルワークのような土台が崩壊したら、そのうえに成り立っているものも崩れてしまう。しかしいま現状もてはやされるのは、より効率的で儲かる仕事である。華やかで目立つものに目がいってしまうのは人間の性というのもわかるけど、何よりも先に目を向けるべきは縁の下の力持ちではないのだろうか。

 

 

今回紹介したものは、資本主義社会という経済システムにおいて豊かな暮らしを求めるうえで避けては通れない矛盾点のほんの一部に過ぎない。

 

このような資本主義の抱える問題点を一つひとつ深掘りして解決策を提示することで、新しい社会構造「脱成長コミュニズム」の輪郭を描き出していくのが本書『人新世の「資本論」』であった。

 

読者のみなさんの中でも読んだことある方いらっしゃったら、ぜひ本書の感想や意見をコメントでおしえてください!

まだ読んだことがない方は、ぜひ一日断食して買ってみてくださいっ。

 

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